Beethoven Piano Sonata No .26, “Les Adieux” (Revised)

四枚目のCDに焼くためにベートーベンのピアノソナタ26番を再度見直しました。1809年、中央ヨーロッパで勃発したオーストリア戦役に関わる曲ですね。ベートーベンのお弟子さんのルドルフ大公が戦役から逃れるためにウイーンから疎開し帰郷するまでを三楽章にまとめたものです。

今回の手直しはかなり細かく、一つ一つの音作りを相当丁寧にやり直しました。それぞれの音の繋がりに意味がちゃんとあるんだからというのが我が師の教えです。特に冒頭のベートーベン自身の書き込みによる、Le – be – wohl(ドイツ語で「さよなら」「別れ」を意味する)が、ソ – ファ – ミ♭ と ミ♭- シ♭ – ソの下降する音型の三つの和音の上に「歌詞のよう」に書かれているところがなかなかOKが出ませんでした。この曲の核となる音型だそうです。自筆譜には、Le(汝よ)be(あるように) wohl(しあわせで、無事に)という音節ごとにハイフンで分割して書いてあります。 それぞれ感情を強調するためにそうしたんだろうと言われております。でもどういうわけか使っているHenle版では以下のような表記になってます。

自分では最初なかなか気がつかなかったんですが、どうやらこのようないくつかの音型でこの曲が構成されているんだそうで、ベートーベンの新たな取り組みなんだそうです。