23番、通称「熱情」ですね。 ベートーベンのピアノソナタ、中期の傑作の一つと言われてます。 だいぶピアノの音域も広がり(エラール製 68鍵)、曲作りにその効果をかなりうまく使っているんだそうです。 ただ、3楽章310、312小節のオクターブ”ド”と318、320小節の”ミ”なんですが、その前後の音の配置から見ると、ベートーベンは、それぞれもう一つ下のオクターブ”ド”、及び”ミ”で鳴らしたかったんじゃないかとも考えられます。(先生の受け売り) 当時のピアノの音域が、かなり広がったとはいえ、まだそこまでは鳴らせなかったからです(エラール製の下限がF1)。 そこで実験的にオクターブ下げて弾いてみました。
ちなみに29番「ハンマークラビーア」あたりから更に低音の音域が広がり、それが傑作を生む一つのきっかけにもなっていたようです。 ベートーベンのピアノソナタの歴史は当時のピアノの進歩の歴史と裏腹の関係にあったということなんですね。
もう一つ、この曲の第一楽章、10,12,13小節の左手に「運命のモチーフ(例のウン、ジャジャジャジャーン)」が使われているんですね。 こちらではppでひっそりと鳴らしてるんです。(四角でくくった部分)
調べてみるとこのモチーフはいろいろな曲にこっそり(?)使われているんですね。
さて、23番はテンポも速く、演奏技術的に難易度の高い曲だといわれてます。(特に第三楽章) でも、今回のMIDI打ち込みでは激しい音の中での微妙な音作りにだいぶ駄目だしが入り随分と時間がかかりました。 「又チョット時間をおいてから見直しをすることにしましょうか。 その方がいいアイディアが出て来るかもしれません・・・」という先生のコメントも頂いてますので、取りあえずこのあたりで一度聴いていただきましょううか。
曲名:Piano Sonata No.23 in F minor, Op.57
音源:Vienna Synchron Concert D-274
Audio file format:mp3