Beethoven “Piano Sonata No.26”

 ベートーベンのピアノソナタ26番、”告別”です。

 この曲は、ナポレオン率いるフランス軍とオーストリアとの1809年戦役に関わりがあります。 三つの楽章に珍しく自ら表題を付けており、それぞれ第一楽章、”Das Lebewohl”(告別)、第二楽章、”Die Abwesenheit”(不在)、第三楽章、”Das Wiedersehen”(再会)と記されています。 深い絆で結ばれたルドルフ大公(当時の神聖ローマ帝国皇帝の末っ子)が戦役を逃れてウイーンから疎開し、又戻って再会までを曲にして献呈されてます。

 さて、問題は第一楽章のAdagioでした。 ”Das Lebewohl”を「告別」と言われると、かなりの悲壮感漂う別れだったように思われます。 でもさすが先生は以下のコメントをヒントとして送ってくれました。

 「告別」という和訳は私は誤訳だと思います。 そのためにこの曲は損をしていると。 本当は「お元気で」くらいのニュアンスではないかなと。 ドイツ民謡の「ムシデン」(さらば故郷)だなと思ってwikiしてみたら、やっぱりこのドイツ語のタイトルは “Abschied”でした。 わがbthven先生もスケッチ時点では”Abshied”とタイトルを書いてあったそうですから。 つまり、今から出かけるけどまた戻ってくる「しばしの別れ」なので、亡くなった人への「告別」ではないんですね。 

 ・・・まーチョット行ってくるよ!程度の別れであれば、「いってらっしやい、元気でね!」と、それほど悲壮感に極まった別れではなかったんでしょう。 確かにルドルフ大公はその後8ヶ月程度で又ウイーンに戻ってきております。 ということで、第一楽章、Adagioはさほど悲壮感を感じない程度に打ち込んでみました。

    曲名:Piano Sonata No.26 in E-flat major, Op.81a
    音源:Vienna Synchron Concert D-274
    Audio file format:mp3
    YouTube:Beethoven Piano Sonata No.26