この曲も打ち込みにかなり時間がかかりました。 チェロとピアノそれぞれと、合わせた時の音を創ってゆくので30分弱かかる曲としてはそんなもんですかね。
一番難渋したのは第二楽章のスケルツォでした。 三拍子ですが、三拍目と次の一拍目をタイで結ぶ音が多用されてます。 以下出だしの楽譜を参照してください。
一般に三拍子は強弱弱ですが、特にピアノの場合は一度叩いてしまえばそう易々とは音を変えられない。 でも、ベートーベンはピアノで三拍目と次の一拍目の指番号を変えてます。 つまり同じ音の中で指を4から3に入れ替えよ、と指示しているんです。 先生によると、これは「1拍目の音に意味があるよ」、と言っているんだそうです。 4の指は3の指より力が入らないので、3拍目はそっと入り、そのまま鍵盤から指を離さないようにして3の指に替えると不思議に1拍目が強拍の感じになるんだそうです。 なるほど! とはいってもDTMでこれを表現するのはなかなか難しい。 今回は一拍目の音量を一つ一つ大きくして見ました。 つまり減衰の途中でボリウムを上げるわけです。
もう一つ、この二楽章は「ABABA」形式ですが、繰り返し記号を使わずに三回の繰り返しがあります。 この三回をどのように弾いたら良いのかが課題になりました。 同じテンポ・音量で繰り返したんですが、先生曰く何か面白くない・・・ということで様々な演奏を聴いてみました。 お手本にしていた アントニオ・メネセスとマリア・ジョアン・ピレッシュの演奏では三回目の音量を幾分落としています。 そして先生の情報(出典:「グレン・グルードの演奏術」)で、レナード・ローズとグレン・グルードの演奏では三回目をppまで落として演奏しているとのこと。 ということで、ここでは三回目の音量を落としてみました。 さて、どうでしょうか。
曲名: Cello Sonata No. 3 in A major, Op. 69
音源:Emotional Cell(cello),Vienna Synchron Concert D-274(Piano)
Audio file format:mp3
YouTube:Cello sonata No.3