随分と時間がかかりましたが、念願の曲を何とか仕上げることが出来ました。
シューバルトのアルページオーネソナタは時に無性に聴きたくなる味わい深い美しい曲です。 既に廃れてしまった六弦アルペジオーネ用の曲ですが、四弦のチェロで弾くとなるとこれがなかなか大変なようです。 私自身楽譜を見て諦めました。 でもDTMならばと打ち込んでみたわけです。 この曲はやはりピアノの和声の進行がきちんと支えてくれることでチェロの見事なメロディーが生きてくるんじゃないのかな。 我が師からはこのピノの弾き方について随分とコメントを頂きました。
さてもう一つ、この打ち込みで「なるほど」と思ったのはチェロの音律についてです。 実は第一楽章に幾つかある半音「シド」のトリルについて、このピッチを先生は気に入らなかったようです。 「あまりきれいに聞こえない」と言うコメントをもらいました。 はてさて、音源そのままのピッチのはずなんだが・・・。 暫く悩んでハタと気づいたのはこの音源の音律は平均律じゃないかということです。 生チェロの場合、私は普段442HzでAを決め、その後D,G,Cとそれぞれの重音で調弦しております。 たいした耳ではありませんので完璧ではないと思いますが、一応完全5度で合わせているわけです。 つまり開放弦が五度で調弦されるピタゴラス音律になるわけです。 ですから、開放弦以外の音も開放弦と共鳴しやすいようなポジションを自分なりに無意識に探して押さえているんだと思います。
これがきっちり平均律で固定されてしまうと幾分感じが違ってくることになります。 特にシドの間隔が大きくなってしまいます。(シが低くなる) そこで、音源のシのピッチをピタゴラス様に上げて対応し、なんとかOKをもらえました。 普段生チェロの練習で全く気にしていなかった音律が、音源を使って打ち込んでいると課題になってくる・・・ 考えて見れば当たり前のことなんですが、面白いですね。
曲名: Arpeggione Sonata, D.821
音源:Emotional Cello(cello),Vienna Synchron Concert D-274(Piano)
Audio file format:mp3
YouTube:Schubert Arpeggione Sonata