ベートーベンのピアノソナタ30番を見直しました。
随分と時間が掛かりましたが、その多くはポリフォニーの処理と楽譜に示されているベートーベンの指示をきちんと表現することに手間取ったからです。
先ずはポリフォニーですが、対位法の勉強などしたことがない自分ですから、当初は右手、左手用の二本のトラックでこんなもんかな・・・と打ち込んでました。 今から思うと、せいぜい楽譜通りに弾けている程度だったんじゃないかな。 ところが、直近29番の打ち込みの際に、それぞれの声部が一体どこに行き着くのか迷ってしまいました。 そこで我が師のサジェスチョンで、声部をきちんと分けて進めることにしたわけです。 29番はそれでも声部の追いかけっこでしたが、30番になるとそれぞれの声部の旋律が異なり、頭の中でそれらを聞きわけながら纏めてゆくことが課題になりました。 ここのところがなかなか難しい。 ピアニストは左右二本の手でそれら声部(今回は四本のトラック)を弾き分けるのですから、今更ながらその技術力と音楽力にびっくりですね。 多分小さい頃から、バッハのインベンションなどのレッスンを通して各声部の役割をきちんとイメージし、纏める力を習得してきた所以なんだろうな。 なんとなく聴いていても、うまく纏まっているなと思う作品の裏にはそういう技術力の支えがちゃんとあるんですね。 DTMではピアノを弾く技術はPCにやらせますから問題ないんですが、この声部の調和を計ることに時間が掛かったわけです。
又、ベートーベンの指示する表現については、特に第一楽章に二つ出てくる”adagio espressivo”が単調で味気ないということで随分と試行錯誤しました。 今回は、一つ一つの音の持つ役割を大分考えさせられた打ち込みでした。
さて、当初のバージョンと比較すると、大分音楽が引き締まってきたように思えますがいかがでしょうか。
曲名:Piano Sonata No. 30 in E major Op.10
音源:Vienna Synchron Concert D-274
Audio file format:mp3(PCで直接聞かれる方はご参照ください)
YouTube:Piano Sonata No.30
さて、次は31番の見直しです。 「嘆きの歌」とフーガの扱いが鬼門かな。