音源-5 立ち上がりの遅れについて

 現在Schumannのチェロコンチェルトを打ち込んでおりますが、例のごとくストリングス音源の立ち上がりの遅れ調整に往生しております。 音価通りグリッドに合わせて打ち込んでも、それぞれの音の立ち上がりがグリッドからずれて遅くなってしまうんです。 特にレガート系でそのずれが大きいんです。 ですから、多かれ少なかれサンプリング音源はこの調整が免れません。 全て同じ遅れであればDAWのトラックディレー機能を使えばいいんですが、多くはアーティクレーションによってこのずれが、かなり違うんですよ。 それぞれサンプリングした音源をDAWで繋げて音を作ってゆく宿命なんでしょうね。 短い曲であればポチポチと調整してゆけばなんとかなるんですが、コンチェルト全楽章ともなると一音ずつ調整してゆくというのは随分と手間暇の掛かりる作業になります。 それもバイオリンからコントラバスまで5つのトラックがありますから、その5倍になるわけです。 そのほか木管、金管でも似たりよったりです。(こちらの方は一般にストリングスよりも出番が少ないんでなんとか我慢ができるんですがね) これをなんとか出来ないかと、色々な工夫が提案されてますがどうも今ひとつうまくないんですね。

 一方最近とみに力量を上げてきた物理音源はそういうことは無く、ピタッとグリッドに合ってくるんです。 さすがコンピューターで計算して出力するだけのことはありますね。 只、木管・金管はそれなりにいいんですが、ストリングスとなるとまだまだ生の弦楽器の音色に追いつかず、単調でシンセっぽい音ですからもう一踏ん張りしてもらいたいところです。

 ところが、最近見つけた日本発のサンプリング系のストリングス音源がこの難問の解決策を提案しておりました。 ”Tokyo Scoring Strings“というんですが、搭載されている”Look A Head”(下画像 楕円印)という機能がそれです。 例えばレガート演奏の場合、ノート位置を微調整しなくてもフレーズとレガートの長さを先読みして、次のノートオンでちゃんと目的のピッチに合わせてくれるんです。 それも不自然ではないんですよ。 結果としてクオンタイズされたMIDIデータがグリッドにキッチリ合ったタイミングで演奏されるんです。 そのために1秒のレイテンシーを掛けて先読みをし調整するとのこと、なかなかのアイディアだと思いました。 1秒あれば相当の解析が出来るはずですからね。

 この音源でかなり楽に打ち込みが出来るようになりました。 音質はそれぞれの好みでしょうが、自分には問題ないですね。