Beethoven Piano Sonata No.31 Revised 2

 ベートーベンのピアノソナタ31番を見直しました。  32曲あるピアノソナタの中でもこの31番は好きな方も多いと思います。 また、コンサートでもよく取り上げられますね。 でもかなりの難曲で・・・と言ってもピアノを弾く技術もさることながら、それぞれの楽章、それぞれのパートを一体どう表現し、繋げてゆくかという面で難しいんだそうです。

 今回は三度目の見直しになりましたが、我が師の指摘は楽譜をきちんとたどって聴く方や、この曲をちゃんと弾きこなしたいとおもっている方なら、「なるほど」と思える詳細なコメントが多かったように思います。 自分でも楽譜を見ずに聴いていると、ハテ何が問題かな・・・といったところでピタッと指摘されております。 というわけで、特に第三楽章にでてくる二つの「Kragender Gesang」(嘆きの歌)とFugaの弾き方についてはずいぶんと時間が掛かりました。

 そういった中で、ピアノを弾く技術の面では声部の処理について我が師匠が傑作のコメントをしてくれましたので紹介しておきましょう。 例えば、第一楽章、47小節について、

 「・・・(おでんの)お鍋の中の大根にまだ芯が残っている感じで爪楊枝で刺すと感じます。 つまり、二つに分けた右手トラックで下のパートの動きが、上のパートの抑揚に上手に添っていないということなんですね。 二分音符で上がdimしているのに下がうまく対応してないために、それが芯になって残っています。 この下をどう弾くかが重要です。 オケでもヴィオラが上手いかどうかがポイントで、ウィーンフィルは凄いんだそうです。」

 確かに「おでん」は言い得て妙ですね。 松葉decresc.の微妙なかけ方についてでした。

    曲名:Piano Sonata No. 31 in A-flat major, Op.110
    音源:Vienna Synchron Concert D-274
    Audio file format:mp3(PCで直接聞かれる方はご参照ください)

    YouTube:Beethoven Piano Sonata No.31

 さて、次はいよいよベートーベン最後のピアノソナタ32番の見直しです。