閑話-21 ベートーベンのピアノソナタ 後期3曲

 さて、ここまでベートーベンのピノソナタを打ち込んできて感じるのは、この後期の三曲がとりわけそれまでのベートーベンらしくないなということでしょうか。 中期の傑作といわれる、「ワルトシュタイン」、「熱情」等と比べるとかなり情緒的な面が表に出てきているように聞こえるからでしょうか。 自らの内省的な思いを楽譜に落とし込んでいくことがピアノでギリギリ表現出来る境地に達したようにさえ思えます。 これ以上新たな試みはないなと悟ったところで終わりにしたのかもしれませんね。

 この最後の三曲はべートベンが亡くなる6年ほど前、多分50歳代にじっくりと集中的に作曲されてます。 この年齢は当時としてはかなり年寄りの内に入っていたはずです。 つまり、今の我々とは違って、時がもっと早く過ぎていたんではないかと思います。 何はともあれ、少なくとも青雲に燃えた「やるぞ!」の熱気とは違う何やら達観した渋みを感じます。 つまり年寄り向きということかな・・・。

 ということで後期三曲の残り30、31番も、再度きっちり見直して自分としても一つの作品として纏めて見ようと思っております。 名手によるこの三曲を弾いたCDが沢山でております。 聴いてみるとそれぞれピアニストの個性は別として、若い頃の録音と歳を重ねた後の録音とでは大分違う趣を感じます。 何か「そういうことなんだよね」と言う共感を覚えるのは自分だけではないんじゃないかと思います。 さて、どうなりますことやら・・・