Beethoven Piano Sonata No.28 (Revised)

28番を見直しました。

今回第一楽章の始まりから我が師からは内声部の役割について厳しく指導が入りました。主題級の読みをするようにということでしょう。。
そのために左右だけではなく内声部だけプロジェクトを分けて打ち込んでます。その上でソプラノとバスとの関わりに気をつけるようにということでした。

情緒性が強い曲ですが、中味的にもかなり高度な音の配置になっており、ピアノ弾きにとってはなかなか大変な曲のように思いました。さらに奏法について細かく指示が指定されており、巨匠の頭の中の音楽を是非にも分かってもらいたいという思いがあふれているように感じます。聴力を失ってしまっていることがさらにそういう意欲に結びついているのかもしれませんね。

さて第三楽章の出だしに書かれている例の”Mit einer Salte Sut una scorda”と20小節の後半に書かれている”Nach und nach mehrere Saiten(Poco a poco tutte le corde)の扱いです。 この指示への対応は現代のピアノでは不可能です。ただ、当時のピアノを考えると、どうも冒頭と20小節後半以降とは音質がかなり違って聞こえてたんではないかと思われます。

これを現代のピアノで表現するには相対的にそれぞれのパートの音質が変わって聞こえることが必要だと思われます。シフは彼のレクチャー[1]の中でこの部分について「調律師に頼んで、ソフトペダルを踏んだ時にできるだけ極端に変化するようにしてもらった」と述べております。つまり、現代のピアノによる当時の音の再現ではなく、当時の差を現代のピアノで翻訳することが必要なんでしょうね。当時のウナコルダは音量を下げるためや優しい音にするための機能では無かったわけですから。

ですからこの部分はシフのような工夫もありなんでしょうね。ウナコルダを踏むだけでなく、更にタッチを変えることによってなんとか色を変えることが必要になってくるんだと思います。

── 参考文献
[1] András Schiff, Wigmore Hall Lecture Recital (2004–2006)
Beethoven Piano Sonata No.28

ここではピアノ音源としてVienna symphonic LibraryのSynchton D-274を使ってますが、ウナコルダとペダルとキータッチの調整でなんとか表現してみました。どうでしょう。 

曲名: Title: Piano Sonata No. 28 in A Major, Op. 101
音源: Sound Library: Synchron Concert D-274
Audio file format: mp3
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