ようやく29番の見直しに入りました。世の中のピアノ曲の中の最高峰だとか、一番困難な曲だとかよく言われて、様々な解説があふれております。 確かに生のピアノではどうやって弾くのか理解に苦しむところも多々ありますね。それを高い技術力が必要、というのであればDTMでは、何ら問題無くこなせます。でも、高い技術という意味はそういうことでは無いんでしょうね。音を並べられることと、音楽として“説得力のある流れ”にすることは別問題で、むしろ後者の方が難しいのは当然のことでしょう。更に解釈に至っては全くの素人の自分には、そういうもんかと頭に収めるぐらいで、今までのピアノソナタとは大分趣が違うな程度で音の流れを楽しむことにしようとおもいます。
最初に仕上げたのは2022年の三月でした[1] 。ほぼ四年ぶりになります。当時の作品を聴いてみると、ただただこの巨大な作品に挑み、何とか形にすることで精一杯だったと思います。我が師にもまたいつか取り組んでみましょうと言われた記憶があります。今回改めて向き合ってみると、あの時には見えていなかった声部の動きや、音と音の間にある“呼吸”のようなものが、少しずつ気になり始めています。いくらかでもそれに気づけるようになったのか、それとも単なる思い込みなのか——いずれにしても、もう一度この曲の中を歩き直してみたいと思っています。
目標は、できるだけ曲の流れを大きくとらえて見ることと、各パートの繋がり(特に内声部分)がどう生きているのかをしっかりと意識して直して行こうと思ってます。 その上で、DTMならではの利点として、内声だけを抽出して聴き直したり、声部ごとに音量や音色の輪郭を調整したりしながら、「どの声が今、音楽を動かしているのか」を見える形にしていきたいな。ただし、音を正確に置けることと、音楽として説得力のある流れにすることは別で、むしろそこが今回の課題だと感じています。尚、一楽章のテンポについては様々な議論がありますが、今回は理論的な結論を求めるよりも、自分の耳が自然に受け止められる流れを優先することにしたいので、前の打ち込みと同様に多くのピアニストが弾いているテンポで進めることにしました。
今回は“完成”を急がず、この曲と静かに向き合っていこうと思います。