ようやくカバティーナが仕上がりました。 巨匠の演奏指示がかなり詳細で夫々の弦のバランスを取るのが大変でした。 特にベートーベンの十八番なんだそうですが、cresc.+pの指示が何カ所か出てきます。 普通はcresc.したら次は強い音量になるはずですが、ふっと弱音になるんですね。 他の作品にも度々出てくるようで、この突然の気分転換がちゃんと表現されているかが大事なんだと一緒にアンサンブルをしながら指導してもらっているバイオリン弾きの助言でした。
そして、大変美しい曲なんですが、只美しいだけでなく、曲の中程でハッとする凄みが出てきます。 曲の中程で出てくる”beklemmt(息も絶え絶えに. 不安な. 胸苦しい)”の指示です。 第二バイオリン、ビオラとチェロがppの6連符+3連符のセミレガートで支えている中で第一バイオリンが静寂の中、我が胸の内を語りかけるように歌い上げる部分ですね。
このカバティーナは1977年に打ち上げられた“Voyager”に搭載されていた”The Golden Record“の曲の中の一つとして採用されていました。 まだ飛行を続けているらしいのですが、いつの日か遭遇した地球外知性体がそれを聞いたときに、この凄さをどのように理解するんだろうかという突拍子もないことをふと思いました。 因みに、各国から採用された曲のリストと音源がNASAのHPに”Sounds of Earth“として載っております。
曲名:String Quartet No. 13 in B-flat major, Opus 130, 5. Cavatina.
音源:Sample Modering Solo & Ensemble Strings
Audio file format:mp3(PCで直接聞かれる方はご参照ください)